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テクノとかエレクトロとか

クラブミュージック全般について書きたいです。

Electric Cafe / Kraftwerk(86)

Kraftwerk アルバムレビュー

 

Musique Non Stop

Musique Non Stop

1.Boing Boom Tschak<ボーイング・ブーム・チャック>

2.Techno Pop<テクノ・ポップ>

3.Musique Non-Stop<ミュージック・ノン・ストップ>

4.The Telephone Call<テレフォン・コール>

5.Sex Object<セックス・オブジェクト>

6.Electric Cafe<エレクトリック・カフェ>

 

邦題「エレクトリック・カフェ」

1986年11月発売 [独23位/英58位/米158位]

 

テレフォン・コールは2曲に分けないで

 

1983年7月「Tour De France」というEPを発売しました。「Computer World」の大規模ツアーによる疲労からか、ラルフ・ヒュッターは体力作りに関心を抱き、エーミール・シュルトの勧めによりサイクリングを始めることになります。やがて彼は日課にするほど夢中になっていき、サイクリングもしくはスポーツをコンセプトにしたアルバムを作ろうと提案しますが、メンバーからは反対されてこのシングルトラックのみの発売となりました。

 

そして同年に「Techno Pop」というタイトルのアルバムを発売する予定がこれまた頓挫することに。これまで時代の1歩以上先をアルバムで表現していた彼らがアメリカのエレクトロダンスミュージックシーンの急速な発展により、何を最新のサウンドとして発表するかを決めかねており、更にデジタル録音の登場によりスタジオの刷新と新たな録音過程の再考に時間を費やした為、アルバムの発売を遅らせることとなりました。こうして前作「Computer World」から5年後、アルバムタイトルは「Electric Cafe」に変わりようやく発売されることになったのです。

 

声のサンプリングとヒップホップビートで始まるM1「Boing Boom Tschak」からの3曲は切れ目なく繋がっており、次の曲のタイトルを歌詞として使用していて、まるで1曲で出来ているような構成になっています。ビート主体だった3曲から一転してM4「The Telephon Call」ではクラフトワークお得意のメロディアスな歌モノ(カール・バルトスがリードヴォーカル)、続くM5「Sex Object」では彼らにとっては珍しくシンセでシュミレートされたギターとスラップベースの音が入ったファンキーなトラックと、アルバムの流れ自体がDJミックスを聴いているかのような感覚にさせてくれます。これまでには必然としてあったアルバム内コンセプトは今作には存在しないので聴き終わった後に残る印象は薄いですがその分、手軽に肩の力を抜いて楽しめる作品になっていると思います。

 

アメリカのクラブミュージックシーンに影響を受けて作られたという事でクラフトワークのオリジナルアルバムの中でも間違いなく異色の作品と言えるでしょう。しかしこれまで電子音楽の可能性を広げてきた彼らのディスコグラフィーの中でも、この「Electric Cafe」でのクラブミュージック、またはダンスミュージック志向な作品は必要不可欠だったんだと思います。

 

ちなみに2009年のリマスター盤ではアルバムタイトルが「Techno Pop」に変更になりました。更にM4「The Telephone Call」はラルフ・ヒュッターがリードヴォーカルのシングル盤に変わり、同シングルに収められていた「House Phone」というトラックが追加されています。

The Telephone Call

The Telephone Call